アナログ入出力ユニットについて

デジタルの入出力はON/OFFを示しますが、制御においては連続したアナログ値を扱うことも良くあり、アナログ入力・出力ユニットを使うことでPLCでもアナログ値を扱えます。
アナログには大きく分けて電圧か電流かの違いがあります。(もちろん制御対象によって変わりますが、電圧入出力を使うことが多いです。電流入出力を使うのは温調器関係ですかね、今までの仕事上では。)

目次

入出力のレンジと分解能

アナログ値を扱うといっても当然無制限に使えるわけではありません。PLCのアナログ入出力ユニットは使える電圧・電流の範囲=レンジが決まっています。
メーカやユニットによって一部使える・使えないの違いはあるのものの通常は下記のレンジから目的に応じたレンジを選択します。

  • 0V~+10V
  • -10V~+10V
  • 0V~+5V
  • +1V~+5V
  • 0mA~20mA
  • 4mA~20mA

※レンジの設定はPLC開発環境上でのユニットパラメータで設定可能なものや、ユニットの初期化手順を登録して設定可能なもの、メーカや機種によってはラダープログラム上で設定可能なもの、など複数の設定方法があります。

入力であればA/D変換(Analog to Digital)、出力であればD/A変換(Digital to Analog)をユニット内部で処理してくれるのでPLC側では単純に数値を扱うだけとなります。が、ここで分解能が関係してきます。

例えば0V~+10Vレンジで入力として使う場合、0V入力ならA/D変換後の値は0だろうと予想がつきそうですが+10V入力なら、、?
一般的なアナログユニットであれば”4000″です。(※)
 0V~+10V ⇔ 0~4000
となります。4000分の1なので数値が1違えば0.0025V(2.5mV)の違いとなり、逆にいえばこの値以下の変化は検出できません。

レンジが違っても分解能4000分の1は同じです。
 0V~+5V ⇔ 0~4000 (最小値 1.25mV)
 4mA~20mA ⇔ 0~4000 (最小値 4uA)
ちなみに負数は少し異なり
 -10V~+10V ⇔ -4000~+4000
となります。(-10Vが0にはならない)

(※)俗に高分解能タイプとか高分解能ユニットと呼ばれる8000とか12000とか20000といったアナログユニットもありますがここでは割愛。

蛇足ですが、、
分解能が4000とか8000とかキリのよい10進数ですがA/D・D/A変換といえば通常2のべき乗になってしかるべきと思っています。(4096とか8192とか)
まあ使う側からすれば10進数のほうが便利なので問題はないのですが昔から気になっていて謎のままです。誰か知っていたら教えてください(笑)

スケーリング

通常±5~10VでPLCと制御機器間でやりとりしますが制御機器自体は高圧電源だったり温調器だったりするので本来制御したい物理量とは単位も数字の大きさも異なります。
例えば電源の電力制御で0kW~2kWという機器があった場合、PLC内では0~4000で扱うことになりますが0~4000の数値をみてもパッと見で良く分かりません。

モニタ上ではやはり制御機器の入出力を表示させないと分かりませんので0~4000を機器の物理量に合わせた計算が必要になります。(計算といっても比率・比例の単純なものです)
この比率計算をスケーリングと呼びます。

例を簡単に図示すると以下のような感じです。

スケーリング計算はPLCかPCのどちらかで実行することになります。(設計次第)

ちなみにたいていの機器はスケーリングは単純な比率ですが、、
単純な比率でスケーリングできないものもあります。(真空ゲージなどはだいたいムリ。)
その場合は指数・対数等を使った計算が必要になりますが仕様書やマニュアルに記載されているのでそれほど焦ることもないでしょう。

また、アナログユニットの機能としてスケーリングが出来るものもあります。(今まで使ったことはないけど。。)
OMRONだとSCL命令(スケーリング)があるので四則演算を使わなくてもスケーリングが出来たりします。一気に覚えるのは無理があるので気になったときにヘルプやマニュアルで調べれば十分です。

精度と補正

アナログ入出力ユニットの値は分解能レベルの性能はあります、、が、
その値が正確かどうかは別の問題です。(精度とか確度とかってヤツですね。詳しくないので多くは語れません。。)
アナログの制御といっても精度が重要なものもあればザックリわかればOK的なものまでそれぞれです。

まあ、世の中、、誤差は当然と考えるのが自然ですね。
ある範囲内におさまっていれば問題ないと考えることが基本ですが、制御対象や処理内容によっては可能な限り正確にしたいこともあります。

理想的にはアナログユニットと機器の入出力は正比例するものです。(下図黒実線)
しかし実際には、、
 オフセット(≒シフト)でズレる (赤点線)
 比率(傾き)がズレる (青破線)
という傾向がわりと多いです。(複合要因でよく分からないこともあるが。。)

PLC自体ではズレを検知することは出来ないので実際の機器の入出力を測定してズレをチェックして補正をかけるのが良くあるやり方です。オフセットに対しては加算の補正値、比率に対しては乗算の補正値を係数とすることが多いでしょう。(このような機能をもたせる場合はパラメータやコンフィグといった名称で補正値を任意に設定できるかたちにしておくのが一般的)
もっとも、ズレるという認識をしておき特に補正処理をしないこともあります。(使う側が気をつけるだけのパターン)

なにが良いたいか、、
 アナログ値はズレるもの。
 場合によって補正も必要。
ってことです。

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